母、ソロキャンプに行く。⑤汗だくタープ張り。

camp

サイトが木陰でよかった。

ペグを打ち直すのはこれで何度目だろう。

あとから来た家族連れはとうにテントとタープを張り優雅な時間を過ごしている。

私はというと、タープを張るのに苦戦していた。

動画をみながら、なんて軽く考えていたのが間違いだった。

電波状況は悪くない。

けれども動画がすぐ停止してしまう。

テキストサイトを探すが、コレもいまいちわからない。

夫の言葉がリフレインする。

「タープの張り方だけはみときね」

テントが簡単に貼れるので、ものすごく甘く見ていた。

タープを張らねば、テントが張れない。

今度こそは完成!とも負った瞬間に、ポールがぱたんと倒れる。

失敗した。お腹すいた。

浮かぶのはネガティブなワードだけれど、

そこには後悔がなく、思わず笑いだしてしまいそうだ。

失敗することでさえ、楽しくて仕方がない。

早くビールが飲みたい。

あの最初の一口が待ち遠しくてたまらない。

これがソロキャンプなのか。

誰かと一緒だとつい、

待たせてはいけない。早くしないと。

と、ついつい焦ってしまう。

人の目を気にする。

人に迷惑をかけてはいけない。

私はそれがずっと必要なことだと思っていた。

常に判断に誰かの目が合って、

正解か否かを判断しようとしてしまう。

がちがちになって結局気疲れして終わる。

あー。そら、人といると疲れるよなあ。

ペグの手が止まる。

向こうに見える空は青い。

がんじがらめにしてるのは、わたしなんだ。 

私ってなかなかめんどくさい奴だ。

じゃあさ、どうしたらいいんだろう。

心もとなげに、ポールが震える。

風が吹いた。

また別のポールが倒れる。

ああ、そうか。

ポールにこだわるからいけないんだ。

ちょうどいい場所に木が2本ある。

ロープをぐるりと結び付けた。

私は、つい出口は一つだと思ってしまうところがある。

さあ、ビールを飲もう。

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